運用中の5サイトで、AI回答での被引用を実測しました。結果はすべてゼロです。1サイトは月1,700クリック規模で稼働していますが、それでも引用は発生していませんでした。
AI検索対策の必要性はあちこちで語られています。しかし実際に測ったらどうだったかを公開している事例は、日本語ではほとんど見当たりません。
この記事では測定条件をすべて開示したうえで、ゼロだった原因を3つに切り分けます。結論を先に書くと、ジャンルによって被引用が発生するかどうかは大きく変わります。
結論:5サイトすべてで被引用はゼロだった
Bing Webmaster ToolsのAI Performanceで測定した結果、対象5サイトのTotal citationsはすべて0でした。
| サイト | ジャンル | 規模 | 被引用 |
|---|---|---|---|
| メディアA | 芸能・エンタメ | 記事多数 | 0 |
| メディアB | 芸能・エンタメ | 記事多数 | 0 |
| メディアC | 園芸・植物 | 月1,700クリック規模 | 0 |
| メディアD | スポーツ指導 | 記事多数 | 0 |
| メディアE | BtoBマーケティング | 記事0本 | 0 |
メディアCは38ページがインデックス済みで、検索流入も継続しています。それでも引用はゼロでした。
測定条件をすべて開示する
数字を出す以上、どう測ったかを明らかにします。
使用したツール
Bing Webmaster Toolsの「AI Performance」を使いました。 2026年2月にパブリックプレビューとして公開された機能です。Microsoft Copilotと提携先のAI体験での被引用を集計します。ChatGPTの引用も対象に含まれます。
指定した期間
期間は2025年2月1日から2026年8月2日までを指定しました。ただし機能自体の提供開始が2026年2月のため、実データは約6か月分です。この点は数字を読むうえで重要になります。
対象サイト
同一運営者が保有する5サイトです。ジャンルは芸能2件・園芸1件・スポーツ1件・BtoB1件でした。
・測定日:2026年8月2日
・指定期間:2025年2月〜2026年8月
・実データ:約6か月分
原因を3つに切り分けた
ゼロという結果には、複数の理由が考えられます。順番に潰しました。
原因1:クローラーをブロックしていないか
robots.txtを確認しましたが、AIクローラーは1つもブロックしていませんでした。
メディアCのrobots.txtは次の内容でした。
User-agent: *
Disallow: /wp-admin/
Allow: /wp-admin/admin-ajax.php
管理画面を除外しているだけです。GPTBot・OAI-SearchBot・ClaudeBot・PerplexityBotなど、主要なAIクローラーはすべて通しています。ブロックが原因ではありません。
原因2:インデックスされていないのではないか
メディアCは38ページがインデックス済みで、検索流入も継続しています。
ここは重要な前提です。Bing Webmaster Toolsには次の注意書きがあります。
SEO/GEO 処理はインデックスが付いた URL に対してのみ行われます。
GEOは生成AI検索での最適化を指します。 つまりインデックスされていないURLは、そもそもAI回答の処理対象になりません。メディアCはこの条件を満たしています。インデックスの問題でもありません。
原因3:ジャンルの問題ではないか
残ったのがこれです。5サイトのうち4サイトは、芸能・園芸・スポーツという趣味とエンタメの領域でした。
これらのテーマで、人はAIに質問するでしょうか。
| ジャンル | AIに聞くか |
|---|---|
| 芸能人の熱愛report | ほぼ聞かない。速報性と画像が価値のため |
| 植物の育て方 | 聞く場合もあるが、実物と写真を見る行為が中心 |
| スポーツの練習法 | 動画で見る行為が中心 |
| BtoBの業務課題 | 聞く。文章で答えが完結するため |
AIが引用しないのではなく、そもそも質問されていない可能性が高いと考えられます。
引用されるジャンルとされないジャンル
今回の結果から言えることを整理します。
言えること
趣味・エンタメ領域では、実トラフィックがあってもAI被引用は発生していませんでした。 月1,700クリック規模でもゼロです。この領域でAI検索対策に投資する優先度は低いと判断できます。
言えないこと
BtoB領域で引用が発生するかは、今回の測定では確認できていません。 5サイトのうちBtoBは1件だけで、そのサイトは記事0本でした。測定対象が存在しない状態です。
サンプルにBtoBが含まれていないため、この結果をBtoBに当てはめることはできません。 ここを混同すると誤った判断につながります。
次に測ること
本サイトはBtoBマーケティング領域です。記事を公開し、被引用が発生するかを継続して測定します。同じ運営者の別ジャンルという条件が揃っているため、比較として意味を持ちます。
この結果が実務に与える示唆
3点にまとめます。
示唆1:まず測ることに価値がある
ゼロという結果にも情報があります。 測っていない状態では、施策の効果も無効も判断できません。AI Performanceは無料で、登録は数分で終わります。
示唆2:対策の前に対象を選ぶ
すべてのサイトがAI検索対策の対象になるわけではありません。 質問されない領域では、構造化やコンテンツ改善に投資しても被引用は増えません。自社の領域がAIに聞かれるかどうかを先に見極める必要があります。
示唆3:数字はサンプルとして読む
AI Performanceの画面には次の注意書きがあります。
The data shown below represents a sample of overall activity.
全数ではありません。 ゼロは「一度も引用されていない」ではなく「サンプル上は観測されていない」と読むのが正確です。
まとめ
・5サイトすべてで被引用はゼロ:月1,700クリック規模を含む
・ブロックが原因ではない:robots.txtはAIクローラーを通していた
・インデックスの問題でもない:38ページが登録済みで流入も継続
・残る仮説はジャンル:趣味・エンタメはそもそも質問されにくい
・BtoBは未検証:サンプルに含まれておらず、当てはめられない
AI検索対策を検討する前に、自社の領域がAIに質問される領域かどうかを確認してください。測定は無料で、数分で始められます。
よくある質問
Q. 被引用がゼロだと、AI検索対策は無意味ですか。
領域によります。趣味・エンタメでは優先度が低いと判断できます。BtoBについては本記事では検証できていません。
Q. robots.txtでAIクローラーを許可すれば引用されますか。
それだけでは増えません。今回の5サイトはすべて許可していましたが、被引用はゼロでした。
Q. インデックスされていれば引用されますか。
されるとは限りません。メディアCは38ページがインデックス済みで流入もありますが、ゼロでした。
Q. 測定にはいくらかかりますか。
無料です。Bing Webmaster Toolsのアカウントがあれば使えます。
Q. なぜ期間を18か月に指定したのですか。
データの取りこぼしを避けるためです。ただし機能の提供開始が2026年2月のため、実データは約6か月分です。
実測環境: Bing Webmaster Tools AI Performance / 測定日 2026年8月2日 / 対象5サイト / 指定期間 2025年2月1日〜2026年8月2日
